2023-09-08 (Fri)
15:36
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脳の老化を防ぐには不安定な環境に身を置く
脳の老化を防ぐ為におススメしたいのが、あえて不安定な、あるいは過酷な環境に身を置いてみることです。
こう聞くとハードルの高いことのように思えるかもしれませんが、こうすることの意味はとても大きいです。
戦乱、混乱が続いて社会が不安定化して価値観が揺れ動いているような世の中だと、前頭前野の司る活用をしないと生き残ることすら難しくなることもあります。
もちろん、ここまで極端な状況を選択しなくても良いのですが、未知の状況、予測不可能な事態に対処するには、それまで蓄積してきた知識や常識、あるいは社会的信用やポジションだけでは不十分になります。
新たな情報の収集と科学的思考、客観的思考が欠かせません。
その中で上手く乗り切ることができれば、新しい事業を起こして成功を収めたりするなど大きく飛躍するチャンスをつかむことができるかもしれません。
反対に安定した社会ではシステムの維持が大きな目標になるので対照的に新たな科学的思考や客観的思考の重要性は下がっていきます。
個々の人生も安定化を指向します。
例えば大富豪が一夜にして全ての財産を失ったり、経済的に厳しい環境で育った人が大逆転で富裕層にのぼりつめたりするような大胆な階層移動も少なくなります。
自らが強く望まない限り、いわゆる決められたレールの上を進んでいくような人生の価値が高くなるので、それを選ぶ人が多くなるのです。
社会がこのように安定していくと自分の所属する集団ルールが社会全体のルールである、というような錯覚を起こすようになります。
違うルールもある、ということが理解しにくくなっていくのです。
経済的に恵まれた環境で育ち学力の比較的高い人は、同じような水準の人たちが集まる学校に幼いころから入って、エリート的なキャリアを形成していきます。
一方で金銭的な事情で進学をあきらめたり中学や高校を卒業してすぐに働かないといけなかったりする環境で育った人も少なくありません。
そして、彼らはお互いに高卒は使えない、大学なんて遊び場でしかない、東大卒エリート官僚が日本をむしばんでいる、底辺と関わりたくない、などと罵り合う事態を招いています。
これは、自分とは違う、経験したことのあるルールと異なるルールを持つ集団に対して理解や共感がしにくくなることによる、ある種の混乱と見ることもできます。
では、異なる人たちともお互いのルールに寛容に接し共感し合えるようにすることはできるのでしょうか。
社会の秩序を乱し現在の社会を一度全て壊してゼロから仕組みを再構築するというのは非現実的です。
古くから取られている方法があります。
それは祝祭です。
この時、共同ルールは一時的にリセットされ、人間関係は流動化されます。
その際、共同ルールから解放された人同士の交流が促されます。
集団バイアスを乗り越えた形で共感が可能になります。
また、穏やかな長期的な形では、恵まれた環境を寛容であることを義務として課されている、と捉え直すというやり方があります。
身分の高い人は、それに応じて果たさないといけない責任や義務があるという道徳観です。
上流階級の人が跡継ぎを育てる際に修業の意味でわざと違った環境を経験させるのはその典型です。
ずっと裕福な家庭で過保護に育ってしまうと、階層の違う人と接する機会もありません。
なのでわざと家から出して違う環境に放り込ませて学ばせるのです。
厳しい環境に身を置けば、メタ認知能力は向上します。
また、近年注目されているマインドフルネスにも同様の効果が期待できます。
マインドフルネスを実践することで、自分の思考や行動を認識し直すことができます。
それをしっかりと意識をして観察することがメタ認知に繋がります。
予期しない事態を克服した時、少なからず充実感が生まれるのは、脳が新しい成功体験を得た喜びによるものです。
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