2023-07-06 (Thu)
10:31
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日本の高地トレーニングの歴史
日本は世界的に見ても高地トレーニングを実践している国の一つであり、その研究に関しても長い歴史があります。
東京大学名誉教授の小林寛道氏が中心となって1997年11月世界に先駆け「高地トレーニング環境システム研究室」を発表しました。
高地トレーニングのきっかけは1968年に海抜2240mのメキシコシティーでオリンピックが開催されるにあたり、高地でパフォーマンスを発揮するにはどのような準備をすればいいのかが問題点として挙がったことです。
当初の研究は、高地におけるパフォーマンス発揮の変化に関するものが多く占めていました。
しかし、ほとんどの競技大会は平地で行われています。
そこで平地で競技を行う場合でも「高地トレーニングをしてからだと何か良いことがあるのではないか」という観点で研究が行われるようになりました。
トレーニングの方法として高地・低酸素トレーニングの活用を模索してきたのです。
高地トレーニングで最も有名な効果は、赤血球の増加になります。
呼吸循環器系の向上だけではなく、筋肉の中で何が起こっているのか、高地で何日過ごせばいいのか、高地トレーニングの効果は平地に戻ってどの程度維持できるのか、ということに目を向けるようになってきました。
最近では、低酸素状況を作り出す人工気象室のような部屋がフィットネスクラブにも設置されるようにもなっています。
アスリートだけでなく一般の人が運動効果を高める為に導入される時代になってきていると言えます。
ですが、フィットネスクラブで導入されている低酸素環境は、研究施設のとは少し異なります。
大きな違いは、低酸素室のドアが普通に開閉できる除圧低酸素であることです。
もし、山の上と同じ環境を作るのであれば気圧も下げる必要があります。
研究室だと簡単に開閉できなく、低圧低酸素状態を作ることができます。
今は「運動するなら低酸素環境でやるといいらしい」「低酸素環境で運動をすると汗をたくさんかくらしい」「脂肪が燃焼しやすいらしい」などで科学的な効果よりも施設の目新しさが先行している状態かと思います。
低酸素状態で運動をした方がよりきついですし、より短時間で息を上げることができるので、短い時間で効率よくトレーニングをすることができるかと思います。
一般の人が低酸素環境で運動を行うことによってどのような変化があるのかというデータはアスリートを対象にしたデータのように多くあるわけではありません。
なので現時点で、本当に良いのか悪いのかを明確に言える段階ではないと言えます。
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