2023-06-25 (Sun)
15:21
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昔はよかったは脳の衰えかも
もしあなたが「昔はよかった」というような気分に頻繁に浸ることがあるのであれば注意が必要かもしれません。
昔を懐かしむ行為は、脳の前頭前野が老化しているサインかもしれないからです。
これは正義の中毒と根が同じかもしれません。
私たちの脳は、過去の記憶を都合よく書き換えるようにできています。
辛かった経験や日常的な要素はそぎ落とされて良いことだけを都合よく組み合わせます。
思い出される記憶は相当美化されている可能性があるかもしれませんので注意する必要があります。
もっとも、美化されているからこそ「良かった」と回想する対象になるとも言えます。
例えば「昔はよかったな。昭和の政治家はみんなワイルドで個性的で根性があって、リーダーシップに溢れていた。あの頃に戻るべきではないのか」という話が度々出てくることがあります。
このフレーズをどこかで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
もしかしたら共感する人もいるかと思います。
しかし、記憶を丁寧に辿ってみれば昭和の政治家が現役であった時、現在よりもよかった、と肯定できるような情報をどれだけ見つけることができるでしょうか。
これはなかなか難しいことかと思います。
当時のマスメディアは、同時代の政治家の問題点を突き続けていたでしょうし、もちろん選挙のルールも異なっています。
長い時間をかけて改革をして今に至っているわけです。
そうした点はなぜかあまり想起されることはなく、あるいは忘れ去られてしまいます。
そういった流れを自覚せずに「あの頃はよかった」というのは、いかにも都合のいい言い分ではないでしょうか。
ただの人間がしばしばこうした思いにとらわれてしまう背景には、脳の老化があるのです。
前頭前野の働きが老化によって衰えるとどうしても新しいものを受け入れにくくなっていのです。
こうした思考パターンは、様々な場面で見ることができます。
昔懐かしい歌や映像作品ばかりを楽しむようになる、昔話しか面白いと感じなくなる、似たような食事しかしなくなる、新しい人と知り合うよりも昔の知り合いとの再会を好むようになるなどです。
もちろん、全てが悪いというわけではありません。
ですが、こうした傾向が出てきたら前頭前野の衰えを疑うサインになります。
そして、ここにも記憶の美化があります。
昔の恋人を懐かしいと思っても現在は容姿も性格も変化しまっているはずですが、記憶の中では当時のまま変わらない、ということがあります。
自分の方から酷いことをして別れたはずなのに、記憶の中ではあくまで仲が良かった昔のまま、甘い時間だけを都合よく覚えているということも起こりがちになります。
自分がしたことは忘れてしまっていても、自分がされたことは忘れられないというようなことはよくあることです。
これには気をつけたいものです。
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