2023-04-20 (Thu)
08:46
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加齢によって特に下肢の筋肉が減少する
加齢によって筋力が落ちてくることは一般的に知られています。
これは、加齢に伴う筋タンパク質合成抵抗性が高まることが原因であると言われています。
体内のタンパク質の合成と分解は常に繰り返されています。
タンパク質の合成は食事の摂取やトレーニングによって高まり、空腹状態では分解が促進されます。
若年成人の場合には、このようなタンパク質の出納バランスが同じ比率であるのに対して、中高齢者ではタンパク質合成抵抗性が高まることによって出納バランスが崩れて筋肉量が落ちてくると考えられています。
しかし、加齢に伴う筋肉量の低下には個人差があります。
60代でも20代の平均値より多い筋肉量がある人もいれば、20代でも70代の平均値よりも少ない筋肉量の人もいます。
また、加齢に伴う筋肉量の減少には、部位によっても変わります。
下肢は上肢よりも筋肉の減少が顕著であることが報告されています。
筋肉は下半身から衰えていくということです。
上肢の筋肉は50~60代までは比較的維持されていて、その後に穏やかに減少していきます。
下肢の筋肉は20代をピークに右肩下がりに落ちていくようです。
筋肉量の減少は健康面にも影響を及ぼします。
全身の筋肉量が減少するサルコペニアでは、女性は60代以降、男性は50代以降に疾病の有病率が増加することが明らかになっています。
これに対して、大腿部の部位特異的なサルコペニアは、女性で30代以降に男性は50代以降に有病率が急増してきます。
なので、健康を維持するには全身の筋肉を維持することも重要なのですが、特に下肢の筋肉を維持することが重要と言えます。
では、加齢に伴う筋肉量の減少を予防する為にタンパク質の摂取量を増加させた場合、どうなるのでしょうか。
これを検討した研究があります。
成人のタンパク質の推奨食事摂取量が0.8g/kg/日の範囲内にある高齢者男性を対象に3ヶ月~6ヶ月間の介入期間内にタンパク質の摂取を1.3g/kg/日に増加させることで、除脂肪体重、筋力、身体パフォーマンスなどが増強されるかどうかを検討しました。
その結果、高タンパク質を摂取した対象者は、脂肪量が有意に減少したものの、除脂肪量、下肢と上肢筋力、歩行速度、階段昇降力などにタンパク質の摂取量による有意差は認められなかったと報告されています。
このことから高齢者において筋量、筋力、身体活動パフォーマンスを改善する為には食事介入だけでは不十分であることが分かります。
つまり筋肉に負荷をかけるレジスタンストレーニングを行うことが重要と言えるのです。
また、レジスタンストレーニングの有無に関わらず、タンパク質補給と筋力の量‐反応関係を検討したメタ分析では、レジスタンストレーニングと並行して筋力を維持・増強する為には1日1.5g/kg/体重のタンパク質摂取が必要であることが示されています。
このことからも加齢に伴う筋量の減少を予防するには、レジスタンストレーニングを行い、十分なタンパク質を摂取することが必要になります。
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