2023-03-30 (Thu)
09:48
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共通の敵を作って巨大化する集団
あらゆる集団が成長をしようとする時、例えば宗教集団も発生段階ではイングループ(内集団)バイアスを利用したと考えることができます。
「集団内の教義=正義」と考えてみると、その定義に反対する集団は全てアウトグループとなります。
集団外から迫害を受けることを正義の行動を阻む悪として、集団内の全員の共通の敵であると号令をかければ、集団の結束はどんどん高まっていきます。
多くの世界宗教と言われる宗教でこうした構造が見られたようです。
代表的な例として初期のキリスト教は迫害されたことによって、信徒たちが信仰する心を強くして集団として大きく強靭になっていきました。
日本における宗教の歴史でも日蓮のスタイルはこれとよく似ています。
敵をあえて作って相手側からの攻撃をむしろ信仰心を高める要因として、集団を作る信徒たちの活動を促進して集団として非常に強靭で長期的に続くものへと成長させることに成功しています。
脳科学からするとこうした正義の為に闘うことの効果は大きく、脳内の報酬系を活性化させる行為であると言えます。
人間をよく観察して、許せないという感情を正義と結びつけて集団内の結束の強化に使いながら、同時にそれ自体も快感となります。
宗教が内部で分裂、分派していく時も同じような流れになることが多いようです。
ですが、攻撃に耐えることができるメンタルとリソースがあるなら、という条件付きです。
アウトグループからは一定の反発を買うような正義の構造を作ることができれば、あとはアウトグループからの攻撃を利用して結束を固め、一丸となって対抗することの繰り返しによって大きく組織を拡大していくことができるかと思います。
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