2023-03-11 (Sat)
10:49
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乳幼児期の心地よい感覚が脳を育てる
内受容感覚の発達は、アタッチメント形成に重要な役割を果たしています。
ヒトを含む哺乳類動物は、生まれてから母親から授乳されることで生きることができます。
授乳されると血液中のグルコースが高くなり、内受容感覚には心地よい感覚が生まれます。
これは大人も同じです。
おいしい食べ物を食べた後は心地よくなり眠たくなることがあると思います。
また、哺乳類動物は養育固体に身体をぴったりとくっつけて育ちます。
サルやチンパンジーの乳児は、母親に抱っこされて育てられます。
哺乳類動物の子育ての基本は、養育固体との身体接触です。
この身体接触も乳児の内受容感覚に大きな変化を生じさせます。
愛情ホルモンと言われるオキシトシンや幸せホルモンと言われるセロトニンなどが分泌されてきます。
そして、ヒトだけが見せる子育ての特徴は笑顔を向けたり、声をかけたりすることです。
このようなことは、サルやチンパンジーの母親は決して行いません。
抱っこして授乳するだけです。
ヒトの乳児だけが、身体の内部に心地よい感覚が高まったタイミングで誰かから微笑みかけたり声をかけられたりするという経験を積極的に与えられているのです。
このような経験を日々重ねていくと乳児の脳の中にある変化が生じてきます。
身体の内部に心地よい感覚が起こっている時にいつも見聞きする人の顔や声が記憶として結びついていきます。
これを連合学習と言います。
この時期、養育固体との経験によって外受容感覚と内受容感覚の統合が進んでいくと実際に授乳されたり、抱っこされたりしなくても脳内で記憶として結びついた人の表情や声を見聞きしただけで、精神が安定するようになります。
これがヒトのアタッチメントが形成される仕組みになります。
脳発達の感受性期にアタッチメント形成が上手くいかないと誰かといて安心するという感情を持つことが難しくなってしまいます。
そうなると社会的場面での不安傾向が高まり、対人関係に問題が起こりやすくなってしまいます。
脳は予測の臓器です。
外界からの刺激が入ってきて、それが認知されるまでの時間は約0.1秒です。
情報が何であるかを理解してから行動をしても遅すぎてしまい、それでは生存できなくなってしまいます。
そこで脳内には、経験に基づいて次に何が起こるかを予測する神経モデルが作られています。
私たちは何かが起こる前にこのモデルに従って行動をして生きています。
これを内部モデルと言います。
対人関係は、とても複雑で変化しやすいです。
内部モデルによる予測が外れると大きなストレスを抱えることも少なくはありません。
それでも対人関係の予測モデルがないと私たちは複雑な社会関係を築いて生きていくことができないのです。
対人関係の予測モデルを作っている土台となっているのは、幼少期のアタッチメントになります。
この土台がないと他者との関係を広げていくことはできません。
アタッチメントの対象は、実の親でなくてもいいのです。
いつも安定して関わってくれる、いつもくっつける誰かが、乳幼児期には必要です。
子供たちの将来は、家庭環境によって左右されるべきではありません。
全ての子供たちを誰一人取り残すことなく社会が守らなければいけないのではないでしょうか。
その為に何をするべきかを考える必要があるのではないでしょうか。
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