2023-03-09 (Thu)
11:21
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脳の手抜きであるバイアス
人間は誰でも、どんなことに気をつけていても集団を形成している仲間をその他の人よりも良いと感じる内集団バイアスをお持っているものです。
グループ外の集団に対してバカなどというレッテルを簡単に張り付けてしまうのです。
例えば、日本人の失敗であれば何でも喜ぶ韓国人、ドイツ人の失敗であれば何でも喜ぶフランス人など、それほど強い悪意を持っているというよりは、ただ脳が手抜きをしてバイアスに乗っ取られている状態と言えるのです。
この状態の脳の処理は、自動的に楽な処理、言い換えれば一元的な処理をしています。
日本人とはそういうものだ、フランス人はだいたいそんな感じだ、と決めつけてしまう時には気を付けた方がいいでしょう。
ある集団にとってグループ外の人々をあれこれ細かいことを考えずに一元的に処理できるというのは、脳がかける労力という観点からするとコストパフォーマンスが高い行為です。
あの人たちは、ああだから放っておこうとすることで、余計な思考や時間のリソースを使わずに簡単に処理をすることができます。
本来であれば、韓国人もフランス人も関東人も関西人も男性も女性も、個人個人に様々な違いがあります。
その人の歴史や独自の考えもあるのです。
本来であれば、一人一人に対して丁寧に判断をしていく必要があります。
しかし、このバイアスが働くと手間をかけないで一刀両断することができるのです。
このやり方は、単純にあの集団は自分たちとは違うと考えるだけでいいので、迅速に判断をしなければならない時に非常に便利になります。
アメリカのトランプ大統領を取り巻く状況は、一元的処理を行う人たちの好例とも言えるかもしれません。
トランプ大統領に批判的な集団は、彼をバカと呼びます。
このように決めつけてしまえば、手軽にすっきりします。
そして、いわゆるトランプ現象の背景には何があるのか、といった深い考察は疎かになっていきます。
一方でトランプ大統領の支持者や批判する人、敵対勢力に対しては国民の敵、フェイクニュースなど、さまざまな一元的な処理をしていきます。
その批判に根拠があろうとなかろうと、適切な指摘であってもなくても、トランプ大統領を支持している集団の人たちにとっては、大統領がツイッターであの批判記事はフェイクニュースだ、と決めつけることが痛快に感じられます。
と同時にあまり聞きたくないような、自分たちに不利な批判に対しては完全に無視するか、または大した価値がないかのように決めつけて一括処理しているのです。
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