2023-02-24 (Fri)
14:48
✎
バイアス(偏見)によって簡単に争いが起きる
サッカーワールドカップにおける韓国人たちの話も集団バイアスがいかにやすやすと人間の心に生じるかを示しています。
このような異なる集団同士がお互いに罵り合う状況について、集団同士の振る舞いの差を調査した有名な心理学の実験があります。
1954年にムザファ・シェリフとキャロリン・シェリフ夫妻が行った実験になります。
ロバーズ・ケープ州立公園で行われたキャンプにおける研究で、泥棒洞窟実験で知られています。
被験者となったのは、白人・アングロサクソン、プロテスタントの中産階級出身の10~11歳の22人の少年たちです。
彼らを二つの集団に分けて、それぞれキャンプを張ってもらいます。
その上で偶然を装って出合わせます。
二つの集団の間には、スポーツなどで競争心が生じるような状況を仕向けます。
例えば、競争に勝ったグループは賞品を獲得できるなど設定をするのです。
すると双方の集団の間には、いとも簡単に対立感情が生まれて激しく争うようになっていきます。
さらには相手集団の旗を燃やしたり、殴り合いになったり、相手のキャビンに夜襲をかけて盗みをしたり、一緒に食事をする食堂で残飯を投げ合ったりするなど荒れ放題の状況になったのです。
この実験ではかなり酷い状態になりましたが、これは、隣の学区の学校同士や隣り合っていてよく似ている二つの町同士でも、ささいなきっかけが元で争いが起こりる可能性を示しています。
○○県ではA市とB市の仲が悪い、南米の国同士ではサッカーの試合になると殺し合う勢いで戦う、というような事例は同じであると言えます。
見た目に大きな違いがなくても人間も宗教も年代も性別も同じ集団同士でも、きっかけさえあれば簡単に境界線が引かれてしまうと言うことです。
- 関連記事
-
- 遺伝子で支持政党が決まっているのかもしれない
- 集団の正義をかざし共通の敵を作り集団は巨大化
- 脳の成人年齢は30歳前後、どうキープしていくかが重要
- SNSが見えなかった争いを可視化した
- 正義と同調圧力の関係
- 服従の心理を証明したアイヒマン実験
- 正しさは関係ない!仲間内の正義を優先する人々
- 正義に溺れるのは人間の宿命、正義中毒は多様性を狭める
- 国や地域、文化によって愚かさは違う
- 日本は優秀な愚かな国かもしれない
- 確証バイアスを増長させるネット社会
- 日本人は議論ができない、否定するだけで議論になっていない
- バイアスのズレが友情をぶち壊し、簡単に争いが生じる
- 正義中毒の快楽と苦悩、脳には相反する思いが同居している
- バイアスは脳の手抜き、一元的な処理をしている
スポンサーリンク
↻2023-02-24