2023-02-10 (Fri)
09:58
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正義と同調圧力
正義中毒による対立は、どのような集団同士でも起こります。
与党と野党でも会社の営業部門と制作部門でもドイツ人とフランス人でも男性でも女性でも起こります。
○○党だから、営業だから、○○だから、男だから起こるのではなくて、人間である以上必ず起こるものなのです。
また、不思議なことにお互いの正義中毒が双方の需給をうまくバランスさせているケースもあります。
ヘイトスピーチまがいの主張をしている集団がいる一方で、その集団に「ヘイトスピーチをするな!」と叫ぶ集団もいます。
もしも何かしらの解決が図られて双方、あるいはいずれかの存在がなくなってしまったら、そこに所属していた人々は、おそらく張り合いのない毎日だと感じ始めてしまうのではないでしょうか。
目の前にいる集団に対して「我こそは正義、お前は不正義」と言えることが快感になっているからです。
「ヘイトだ」「ヘイトじゃない」と言い合っている状態は、いわばお互いにドーパミンを出し合う状況を提供し合っている関係とも言えるのです。
「つぶしてやる」と言っておきながら本当につぶれてしまったら困るのです。
傍から見ればコントのように見える滑稽な状況ですが、本人たちは真面目にやっているのです。
スポーツの因縁化対決にも同じような構図が見られます。
日本のプロ野球では、読売ジャイアンツと阪神タイガースの戦いが積年のライバル同士の伝統の一戦と捉えられていると思います。
阪神だけには負けたくない、他チームに撒けてもジャイアンツには負けたくない、と言うファンの心理は試合の勝ち負けだけでなくチームの運営手法やファンの態度まで含め、お互いにはげしくけなし合いながらも実はその対立そのものを楽しんでいる側面もあります。
このようなスポーツ等における長年のライバル関係と、そこに不随している集団心理は世界中で見られるものです。
ライバルとして認め会っていると言えば美しいかと思いますが、相互にとって「快感の素」「ドーパミンの湧き出る泉」として麻薬のように依存している関係でもあると言えます。
また、対立構造の中にはもう一つの根深い問題が潜んでいます。
東京ドームでみんなが巨人のユニフォームを着て応援している中に阪神のユニフォームを着て入っていくのはなかなか勇気のいることです。
逆のパターンも同じです。
中にはケンカをふっかけてくる人もいるでしょうし、マナーをあれこれ言われてしまうかもしれません。
トラブル防止の為に特定のエリアでは他チームのユニフォームの着用自体が制限されていることもあります。
周囲の行動に合わせないといけないと感じさせる環境要因のこがいわゆる「同調圧力」です。
集団の中で少数意見を持つ人に対して多数派の考えに従うように暗黙のうちに強制させてしまうのです。
例えば、未だに性的マイノリティに対する心無い言葉や態度をする人がいます。
これは当人の問題だけではなくて擁護しようとする人の行動も制限してしまいます。
自分には偏見がないと公言する人たちであっても、同性愛者が冷遇されている状況で自分自身もひどい目に合うかもしれないと言う思いを振り切って果たして擁護することができるでしょうか。
正直なかなか勇気がいるのではないでしょうか。
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