2022-11-05 (Sat)
09:12
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ステレオタイプ脅威現象
社会心理学では、ステレオタイプ脅威という現象が知られています。
これは、自分が所属している集団が持っている社会的なイメージ(ステレオタイプ)を構成員が意識すると自分自身もそうに違いないと考えて、ステレオタイプと同じ方向に変化していくと言う現象です。
例えば「黒人は白人よりも攻撃的だ」という社会的な偏ったイメージがある状況では、ある黒人自身が自分を攻撃的な人間だと考えたり、犯罪を働いても当たり前だと考えてしまったりするようなことです。
こんな研究例もあります。
男女の成績を比較すると一般に中学生くらいまでは、女性の方が成績が良いのに高校生になると女性の成績が急に落ちていきます。
この背景には、年齢が上がるにつれて「女性はそこまで勉強ができなくてもいい」と言うような社会的なイメージを受け取って学習した結果そうなってしまうのではないかと考えられています。
「女の子なのにすごいね」
「女の子が勉強を頑張ると結婚しにくくなるよ」
「東大に行くの?男の子ならよかったのに」
など
このようなネガティブなメッセージを言われることが男性よりも高いのではないでしょうか。
これによって「男に生まれればよかった」「女は勉強してはいけない」「いい成績を取ってはいけない」と考えてしまい、実際にそうなってしまうのです。
これも社会的適応の一形態に過ぎないと言えます。
女性の方が脳科学的に集団の空気を読むことの合理性を意識しやすいので非常にもったいないとも言えますが、成績がいいことが自分にとって有利に働かないかもしれない、損をするかもしれないと感じ取り、ブレーキを踏んでしまうのです。
反対に女性らしくて気が利くね、かわいい、などの褒め方をされるとそちらに合うように振る舞い始めます。
このような実験もあります。
男女に数学的能力を測定するテストを解かせる際に性別を書かせると女性の方が成績が悪く、大学名を書かせるとそのエフェクトが弱まり、成績が良くなるという結果が出ました。
女性と言う集団の構成員として解くか、ある大学の構成員として解くかによって点数にさえ影響が出てくると言うことです。
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