2022-10-23 (Sun)
08:44
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自然災害と閉鎖的環境
日本人の社会性が高いのは、島国だからと言われることが多いのではないでしょうか。
ですが、これが真の理由ではないと思います。
同じ島国でもイギリスは日本人のようになっていません。
日本独特の事情として、いくつか注目をするべき点があります。
まず、気候です。
日本は、降雨量が多く、台風も多いです。
高温多湿だけでなく、風水害のリスクが高いのです。
これは近年、誰もが強く感じているのではないでしょうか。
そして、日本はプレートの境界にある為に火山が多く、地震が多発する場所でもあります。
統計的に見ても世界中で起るマグニチュード6以上の大きな地震のうち約2割が日本で発生しています。
これは、日本とイギリスの大きな違いです。
同じ島国でも自然災害のリスクが高く、恒常的に防災を考えないといけない国とそうでない国では、生き残っていくことができた人間や集団の性質が違うということではないでしょうか。
日本は数千年、数万年前から変わらず自然災害が多いですので、そうした環境に適応できる、つまり長期的な予測をして準備を怠らない人たちが生き残ったと考えるのが自然ではないでしょうか。
集団で見れば、構成人員の多くの割合がそうした環境に最適化された人たちである可能性が高いのではないでしょうか。
集団を優先する性質も含め、それが日本という環境における最適化の一つの結果なのかもしれません。
平均的なところにいる人からすると、外れたところにいる人たちのことをなかなか理解できないと思います。
「なぜあの人は、あんなことをするのか」などと言ったことが起こります。
これは非常に残念なことだと思います。
日本では、圧倒的多数派である平均的な人たちの中でエリートと呼ばれる人が生産され続けてしまうのです。
日本のエリートは、違う視点からすれば、優秀な愚か者なのです。
コロナ騒動以降、それは顕著に表面化したのではないでしょうか。
日本人は不安を感じやすい
2019年セコム株式会社は、日本人の不安に関する意識調査という質問による調査の結果を発表しています。
これは20代以上の男女500人を対象にしたもので「最近、何か不安を感じていることはありますか」との質問に対して、7割以上の人が「感じている」と答えているのです。
これは、若いほどその割合が高く20~30代の女性では、その割合が9割にもなりました。
これは日本のセキュリティ意識について興味深いデータと言えます。
こんなにも不安が強いのは、何かしらの理由があるのかシンシナティ大学のロバート・リーヒが調査をしています。
アメリカでは、37%の人が毎日のように不安を感じているというデータがあり、その人たちを対象に2週間、何が心配なのか等について、具体的に記録してもらいました。
すると心配であった事柄の85%について、現実的にはむしろ良いことが起き、残り15%についてもその約8割は予想していたよりもいい結果が起きたということが明らかにされました。
つまりは、9割以上の心配事はそんなに心配する必要はなかったはずのことであった、ということが分かったのです。
しかし、これはアメリカでのデータであり、2週間と言う短い期間での調査です。
日本の現状を見れば、日本では不安の強い人が生き残っています。
日本社会そのものがその社会実験の結果であると見ることもできます。
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