2022-04-05 (Tue)
09:28
✎
筋力増強効果は6秒以下
筋肥大と筋力増強では、様々な点で違いがあります。
近年では双方の目的に合致するトレーニング方法が提唱されています。
筋肉を大きくさせるには、8秒以下の動作スピードで行うと効果的とされています。
では、筋力を向上させるにはどのくらいの動作スピードで行うと良いのでしょうか。
2017年筋力増強効果を最大化する運動スピードについて世界で初めてメタアナリシスを行ったシドニー大学のデイヴィースらはこのように結論付けています。
・筋力増強効果は、6秒以下の運動スピードで最大化される。
このメタアナリシスは、15の研究報告からなり、被験者の総数は509名(男性293名、女性217名)、年齢は19~73歳、トレーニング経験者だけでなく未経験者も含んでいます。
研究報告から得られたデータを「速い2~4秒」「中程度~遅い4.7~6秒」と言う運動スピードに分けて解析をしました。
その結果、速いでは21.6%、中程度~遅いでは20.6%の筋力増強効果が示されました。
しかし、効果の差は非常に小さく、運動スピードによって筋力増強効果に有意な差は認められませんでした。
運動スピードは、運動強度に影響を受けます。
低強度のスピードでは運動スピードは速くなり高強度では遅くなります。
そこでデイヴィースらはトレーニング強度の影響を検証する為、サブグループ解析を行いました。
その結果、トレーニング強度が中程度の場合、運動スピードが速い方が筋力増強の効果がやや高いことが分かりました。
さらにこのメタアナリシスには若年者や高齢者、トレーニング経験者や未経験者が含まれていたので、年齢やトレーニング経験の影響についてもサブグループ解析が行われました。
その結果、年齢やトレーニング経験の有無はこの解析結果に影響を与えないことが分かりました。
デイヴィースらが示した結果は、6秒以内の運動スピードであれば速くても遅くても筋力増強の効果に差はないとするものでした。
また、中程度の強度では運動スピードの速い方が筋力増強の効果がやや高いことが示されました。
これらを総合した結果、年齢やトレーニング経験の有無に関わらず、6秒以下の運動スピードが筋力増強の効果を最大化させることが示唆されたことになります。
この結論は、筋肥大で効果的な8秒以下の運動スピードとは異なります。
その理由は、神経活動の適応にあると考えられます。
続きはこちら
↓↓↓
筋力アップは6秒以下のスピード、トレーニング効果は週単位での総負荷量で決まる
- 関連記事
-
- メカニカルストレスを高めるバリスティックトレーニング、重要なのは動作の質
- トレーニング効果を高める最適なタンパク質摂取量は?トレーニング内容で摂取量は変わる!
- 筋肉が熱を作る!運動をしなくても熱を発生させるUCP、サルコリピン
- 筋力は関節角度によって大きく変わる!大きな筋力を発揮するには姿勢が大事
- 糖尿病学会のガイドラインは脂質の中身を無視、糖質制限食だけでは不十分
- 風邪を引きやすいかどうかは免疫機能の差、タンパク質、ビタミンA、C、Eを摂ろう!
- マスク社会は脳の感受性期に影響を与えるのではないか、新しい生活様式は大人目線
- 栄養素は体内の化学反応の材料でバランスが大事、身体は化学反応の連続
- インスリン抵抗性は脂肪細胞の貯蔵が限界になると生じる、脂肪の貯蔵力で血糖値は決まる!?
- ストレッチの種類3つと筋腱複合体の特性について、弾性と粘性
- 運動パフォーマンスを左右する4つの要素、筋力トレーニングだけではパフォーマンスは向上しない
- アレルギー疾患などの免疫疾患は農薬が原因かも?ごくわずかな量でも作用する可能性
- 筋力トレーニングの常識を覆すかもしれないmTOR、リボソームをフル稼働させタンパク質合成を促す
- 両側性トレーニングで左右の筋力バランスが整う、両側性のバイラテラルと一側性のユニラテラル
- 薬による体内で起こる化学反応は誰にも分からない、新薬が良いとは限らない
スポンサーリンク
↻2022-04-05