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2021-12-17 (Fri) 09:26

生理心理学とメンタルケア、カウンセリング、EMDR

バイオフィードバック
身体と精神の関連は、自分自身のことではありますが、正確に把握することがとても困難です。

そこで生理的な状態を精密機器やコンピューターを使用して提示して自己理解と自己調整を高める方法があります。

これをバイオフィードバックと言います。

モニターやディスプレイに表示された自身の生理的状態を見ながら、自分自身で心身をコントロールすると言うものです。

代表的な例としては、普段視覚的に捉えることができない自分自身の脳波を測定装置によって可視化して本人にフィードバックして、それを基に訓練して、α波の出現を自己調整すると言う手法があります。

α波が多く出現する状態はリラックスした状態になるので、自信の脳波をバイオフィードバックによってコントロールすることでセルフケアができるようになります。

同様に筋肉や心拍、血圧、皮膚温度などもバイオフィードバックによって自己調節が可能であるとことが判明しています。

自律訓練法
心理療法の一貫として実施されることが多いリラクゼーション技法の一つに自律訓練法があります。

自律訓練法は、カウンセラーからの言語による暗示、もしくは自己暗示により、副交感神経が優位な状態を作り出し、これによりストレスの軽減、心理的な問題の改善へと繋げる方法です。

自律訓練法は、座るか仰向けになり、ネクタイや腕時計、ベルト、靴などの身体を締め付ける物を外してできるだけ静かな場所で実施することが前提となります。

また、背景公式と言う基本から開始して、第一公式 ⇒ 第二公式 ⇒ 第三公式 ⇒ 第四公式 ⇒ 第五公式 ⇒ 第六公式と徐々に進めていきます。

注意点としては、自律訓練法は専門家による指導の下、繰り返し訓練することで効果を発揮するものであることです。

また、自律神経を積極的にコントロールする手法であることから心臓疾患や糖尿病などに罹患している場合は実施できないなどの禁忌もあります。

EMDR
人間の脳は、大きなストレスを伴うような出来事を知覚した場合でも、何とかその状況に適応しようとする機能がもともと備わっています。

多大なストレスを伴う出来事は単純な知覚情報の状態から、脳の各部位で処理されてネガティブな記憶となります。

ネガティブな記憶は二度と同じような出来事を経験しない為にも決して忘れてはいけない重要度の高い情報として保存されます。

しかし、単に保存しているだけではストレスを抱え込んでいるので心身への悪影響しかないですが、人間の脳はネガティブな記憶を繰り返し想起し、他者にそのことを話したり、客観的に分析したりすることで次第にその脅威を低減させることができます。

人間が悲惨な出来事を経験しても時間の経過に伴って徐々に適応することができるのはこの為なのです。

ですが、精神疾患などの影響で脳の機能が阻害されてしまうと、過去の出来事の記憶が現在の生活に悪影響を及ぼすことがあります。

このようなネガティブな出来事に伴うストレスに起因する精神疾患を心的外傷後ストレス障害(PTSD)と言います。

心的外傷後ストレス障害は、自然災害や犯罪、事故、戦争など様々な事柄が原因となります。

年齢、性別を問わず誰でも発症する可能性があります。

心的外傷後ストレス障害の治療や支援に有効な手法としては、EMDRがあります。

EMDRは、クライアントにネガティブな出来事を積極的に想起させつつ、同時に眼球運動を実施させます。

過去に起きた出来事を想起させる場合に眼球運動が伴うと言う人間の生理反応を転用して意識的に眼球運動を実施させることでネガティブな記憶と同時に関連する様々なポジティブな記憶も活性化させます。

眼球運動後、深呼吸をしてから想起された記憶に関連するイメージや感情をクライアントに報告させ、また記憶の想起と眼球運動の実施、深呼吸、報告と言う手順を繰り返します。

深呼吸は、リラクゼーション効果があり、徐々にネガティブな記憶による心身への悪影響を減少させることができます。

EMDRの一連の手続きは、個人が健康な場合に時間をかけて行っていたネガティブな出来事とその記憶に対する適応を心理カウンセラーのサポートによって短時間で繰り返し実施すると言うものです。

EMDRは、研究の積み重ねによって開発された科学的な心理療法になります。

脳と眼球運動などの生理心理学の要素と記憶や認知・感情などの認知心理学の要素、さらには学習心理学や行動分析学など、いくつもの心理学領域が関連しています。

なので必要となる専門知識も多いですが、心的外傷後ストレス障害に対して非常に効果的であることが実証されています。

多くの心理療法と同様にEMDRも本を読んだだけや話を聞いただけと言う状態で他者に実施するのは当然のことながら厳禁であり、正式な学術団体のカリキュラムに沿って訓練を受けることが大前提となっています。

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2021-12-17

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