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2021-07-28 (Wed) 10:05

人数が増えても生産性は上がらない、集団で起こりやすい心理

三人寄っても文殊の知恵にはならない
人数が増えても効率は残念ながら上がりません。

例えば、明日までに仕事の報告書を仕上げなくてはいけない時、自分一人では全力で作業に取り組むかと思います。

これは自分がやらないと終わらないからです。

では、三人で行う場合も同様に全力で取り組むかと言うとそうはなりません。

自分一人くらい手を抜いてもいいだろうと言う気持ちが生まれて抜きをする人が必ず出てくるものです。

これを社会的手抜き、または発見者の名前からリンゲルマン効果と言います。

リンゲルマンは、綱引きでの実験で社会的手抜きを証明しました。

1対1、3対3、8対8でそれぞれ綱引きを行ったところ、1人が出す力は100%→85%→49%と人が増えるにつれて低下しました。

リンゲルマン効果によって集団での作業効率は計算上の成果よりも少なくなるのです。

これをプロセス・ロスと言います。

人は、人数が多いとやる気がなくなっていくと言えます。

心理学者のラタネによると被験者に大声を出させたり拍手させる実験を行った結果、人数が増えれば増えるほど個人の出す音量は小さくなったことが証明されています。

人は人数が増えれば増えるほど、一人一人の責任が減り能率が下がっていきます。

これを防ぐには、みんなで同じことをするのではなくて、個人個人で細かく役割分担をすることです。

一人一人役割があると責任が伴うのでリンゲルマン効果を防げるようになります。

集団になると責任感が低下する
リンゲルマン効果が生じるのは、「自分一人くらい手を抜いても他の人がやるから大丈夫だ」と言う責任感の低下が起こるからです。

さらに集団では、協調性が重んじられます。

自分だけ真面目に頑張ると周囲から浮いてしまう恐れがあります。

それによって仲間外れになってしまうので、みんなと同じように手を抜くことを選びやすくなります。

一人一人の責任が拡散する現象は、集団が大きくなるほど顕著になります。

特に没個性化した状態だと無意識のうちに誰かがやってくれるだろう、どうせみんなやっている、と責任逃れをしてしまいます。

没個性化とは、自分がどこの誰だか分からない状態のことです。

集団での生産性を調査したところ、結成から1年半ほどでピークになり、その後は徐々に低下していきます。

結成して5年を過ぎると著しく低下すると言うデータがあります。

これを集団硬直化と言います。

集団で起こりやすい心理
人は集団になると個人の見解よりも周りの様子に流される傾向があります。

責任感が低下する
善悪を集団内の基準で判断をするようになります。
責任感が薄くなり罪悪感を感じずに悪事を働くこともあります。

同調性を重視する
誰も別の意見を言わず、言っても無視しようとします。
全員一致だと錯覚をしてしまいます。

不死身幻想を抱く
偏った判断をして楽観的に考えやすくなります。
冷静に判断できずに危険な選択をしやすくなります。

意見が極端に偏る
集団で意思決定をすると過激になり過ぎたり慎重になり過ぎたりして意見が極端に偏りやすくなります。



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2021-07-28

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