2021-07-27 (Tue)
09:05
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道に人が倒れていても助けないのは傍観者効果によるもの
目の前で人が急に倒れた時、自分一人しかその場にいなければ、よほどのことがない限り助けようと駆け寄るはずです。
ですが、自分以外にもたくさん人がいると、とたんに傍観者になり「他の誰かが助けるだろう」と思ってしまい助けなくなってしまいます。
こうした心理は、その場にいる多くの人にも同じように起こります。
これを傍観者効果と言います。
人は、たくさんの人がいると責任分散が起こりやすくなります。
これは実験でも証明されています。
参加者を二人、三人、六人のグループに分けて、メンバーの一人が心臓発作を起こした時にどういう反応をするか調べました。
すると二人のグループでは1分以内に85%が援助反応を示しましたが、三人グループでは62%、6人グループでは3%しか助けようとしませんでした。
これには、援助行動に対する相互抑制効果が働くことも関係しています。
人は自分の行動に自信がない時、周囲の判断や行動を見て自分の出方を決めています。
周囲にたくさんの人がいても誰も動かないと、緊急事態ではない、と判断をして助けるのをやめてしまうのです。
緊急事態が発生しても周りの人が増えれば増えるほど援助行動を起こせなくなります。
援助行動には、純粋に助けようとする行動の他にも、見返りを期待して行う社会的交換理論に基づく援助、同情、共感利他性に基づく援助、自分の苦痛や不快感を解消する為の援助などがあります。
顔見知りなら助けやすい
反対に援助行動を起こしやすい場合もあります。
それは顔見知りの時です。
相手が自分の知っている人であれば直ぐに助けに行きます。
この場合の知り合いとは、友達や会社の同僚などの知り合いだけでなく、よく道ですれ違うとか電車でよく顔を合わせるようなファミリア・ストレンジャー(見慣れた人)でも同じです。
人は、相手の名前を知らなくてもよく見かける人には親近感を抱きやすいからです。
また、相手の物理的な距離も関係しています。
困っている人が遠くにいると傍観者になりやすいですが、自分のすぐ近くにいると気付かないふりをしたり、無視したりできないので義務感から援助行動を起こします。
周囲の人に助けを求める時は、相手を指名して、具体的に頼むようにすると良いです。
「あたなは救急車を呼んで」「あなたは110番を」など個別に頼むと助けてもらいやすくなります。
援助行動に至るまでの5つのハードル
緊急事態が発生しても援助行動を起こすまでに5つの条件を心の中でクリアしています。
援助行動を起こすには、このハードルを超えなくてはいけないのです。
事件・事故が発生
↓↓↓
緊急事態が起こった?
イエス
↓↓↓
自分の判断は正しい?
イエス
↓↓↓
自分が助けなければならない?
イエス
↓↓↓
助ける方法を知っている?
イエス
↓↓↓
実際に行動に移す?
イエス
↓↓↓
5つのハードルを越えてはじめて援助行動を起こす
キティ・ジェノヴェーゼ殺人事件は傍観者効果の典型例
1964年にニューヨークで起こった殺人事件は傍観者効果の典型例になります。
キティさんが深夜暴漢に襲われた時、周囲のビルから38人も目撃者がいたにも関わらず、誰も警察に通報するなどの援助行動を取りませんでした。
つまり目撃者全員が誰かが助けるだろうと傍観者になった為にキティさんは殺されてしまったのです。
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