価格設定で高級感を作り出している
物を見る目をやしなうのは、そう簡単なことではありません。
よほどの目利きではない限り自分の判断に自信が持てるものではないかもしれません。
そんな時に人があてにするのが、社会的リアリティです。
周りの人の判断、社会的に認められている尺度を判断基準にしているのです。
社会的リアリティが深層心理にあると無意識に「安い物は品質が悪く、高価な物は高品質である」と判断をしてしまいます。
判断のヒューリスティックが働いて、いわゆる直感的な判断をするようになります。
利き酒の実験でも判断のヒューリスティックが見られました。
6種類の値段の異なるビールを利き酒してもらったとこと、高い値段がついているビールを高品質と感じる人が多いと言う結果が出ています。
人は値段が高い物を高品質だと勘違いをしてしまうと言うことです。
商品を値引きしても安くなる=欠陥があると思われて、売れ残ってしまうことがあります。
そこでもとの値段に値上げしたら売れたと言う話しもあるのです。
これも社会的リアリティが働いているからです。
98は安いイメージを作る
スーパーなど末尾が98となっている価格表示はとても多いです。
このように端数にすると値段を引き下げているように思える為お得感や割安だと感じます。
100や200などの00のようにキリがいい価格よりも端数にした方が安く感じると言うのは万国共通です。
アメリカでは99、イギリスでは95と言う端数がよく使われています。
心理学者のシンドラーとバリアンは、価格表記の末尾が99、88、00の三つの商品カタログを用意して売り上げを調べる実験をしました。
アメリカの定番である99と言う価格表記のカタログの売り上げが最も高く、本来なら売り上げの少ないはずの88と、最も売り上げが高いはずの00表示のカタログでは売り上げがほぼ同じでした。
このように国によってお得に感じる数字は違いますが、端数価格には同様の効果があります。
物の価値が変わるレスイズベター効果
シカゴ大学のシーは、質は同じで量の異なるアイスクリームを異なる人に提示して価格を聞く実験を行いました。
その結果は、客観的価値の低いアイスクリームの方が主観的には値段が高いと判断をされました。
これをレスイズベター効果と言います。
レスイズベター効果とは、同じカテゴリー内で相対的に評価できる環境が整えば、客観的な価値に関わらず物の価値が主観的により高く見える効果のことです。
10オンス用のカップに8オンス入ったアイスクリーム
支払ってもいい価格を聞くと1.66ドル
5オンス用のカップに7オンス入ったアイスクリーム
支払ってもいい価格2.26ドル
見せ方次第で主観的な価格は変わると言うことで、言い換えればそれだけ見た目に騙されている人が多いと言えます。
中間の価格は選びやすい
レストランのコースで値段の高い順にAとBの二つのコースがある場合は値段の安いBが良く選ばれます。
しかし、Aよりも高いSコースを増やして三つの中から選ばせると中間価格のAが選ばれやすくなります。
これはコントラスト効果によるもので、より値段の高いSが加わった為、中間のAを選びやすくなったのです。
人は中間の価格は選びやすい傾向にあるのです。
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