2020-07-02 (Thu)
09:54
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動物性のレチノール、植物性のβカロテン
ビタミンAの化学名はレチノールと言います。
ビタミンAには、レバーなどの動物性食品に含まれているレチノールと緑黄色野菜などに含まれているβカロテンがあります。
βカロテンは、吸収されれると体内でビタミンAに変わります。
ビタミンAの吸収率は90%程度ですが、βカロテンの吸収率は10~60%です。
油と一緒にとると吸収率が高くなります。
レチノールは小腸から吸収され肝臓に運ばれ貯蔵されますので過剰に摂取してしまうと過剰症が起こります。
カロテンには、α、β、γの3種類がありますが、食品に含まれているのはβカロテンがほとんどです。
食品成分表にβカロテンがとりあげられています。
βカロテンは体内で吸収されるとレチノールに変換されますが、変換されなかった物には肝臓やその他の組織で変換される物もあります。
βカロテンの過剰症については、報告はないようです。
疫学調査でβカロテンの摂取量が多いと肺がん、胃がん、子宮頸がんの発生が少ないとの報告があるようです。
目や粘膜、皮膚の健康に欠かせない
目の網膜には、ロドプシンと言う光を感じる物質があります。
このロドプシンを作るのにビタミンAが必要になります。
ロドプシンは光に反応してその刺激を脳に伝えています。
なのでビタミンAが不足してしまうと網膜のロドプシンが少なくなり暗がりでは物が見えなくなる夜盲症になります。
また、ビタミンAは粘膜や皮膚などの上皮細胞の形成や働きに大きく関わっています。
上皮細胞には、病原体が体内に侵入するのを防ぐ働きがあります。
不足すると皮膚がかさついたり肌荒れが起こり器官などの粘膜に細菌やウイルスが侵入しやすくなります。
風邪を引きやすくなる原因ともなります。
風邪を引きやすい人、一度引くと長引く人、口内炎や歯茎が荒れやすい人はビタミンAが不足しているのかもしれません。
βカロテンはがん抑制になるかも
βカロテンはがんの抑制に注目されています。
これまでの研究からがんの原因は、正常な細胞のなかに潜んでいるがん抑制遺伝子が、大気汚染や食品添加物、タバコなどの発がん物質によって破壊されがん遺伝子にへんかする為ではないかとされていました。
ですが、おなじような発がん性物質の影響がある環境においてもがんになる人とならない人がいてよく分からないところでもあります。
1980年代以降に行われた調査でβカロテンの摂取量が多い人は肺がんになるリスクが少なくなると報告されました。
βカロテンが持っている抗酸化作用が、がん抑制に効果があるのではないかとされています。
しかし、94年に発表された調査ではβカロテンが肺がんを予防することは認められませんでした。
これには、摂取量やタイミングなどが関係しているの可能性もあります。
βカロテンのがん抑制は、抗酸化作用以外にもあるとされ注目を集めています。
映画館やトンネルの中で
映画館のような暗い場所など明るい場所から急に暗い場所に入るときに目が見えなくなったことありませんか?
また、トンネルに入った瞬間、何も見えなくなったり対向車のライトがまぶしく感じられたりした経験はありませんか?
私たちの目は暗がりに目が慣れるまで時間がかかり徐々に見えてくるようになります。
これを暗順応と言いロドプシンが関係しています。
明るい場所にいると網膜のロドプシンは少なくなっていて急に暗い場所に行くと物が見えません。
ですが、暗い場所にいるとロドプシンの分解が少なくなるのでロドプシンが増えてきます。
そして物が見えるようになります。
逆に暗い場所から明るい場所に出るとまぶしく感じるのは、暗い場所にいるとロドプシンが多くなっていて明るい場所に行くと光が多く目に入るのでロドプシンが過剰反応を起こすからです。
ロドプシンを作るにはビタミンAが必要です。
映画館やトンネルの中でなかなか目が慣れないと感じる場合は、ビタミンAが不足しているのかもしれません。
βカロテンはLDLコレステロールの減少にも
LDLコレステロールとは、低比重リポタンパク質のことです。
これが悪玉になるのは活性酸素の作用で酸化して過酸化脂質となり動脈硬化を引き起こして狭心症や心筋梗塞の原因となるからです。
βカロテンは抗酸化作用があるので過酸化脂質の防止になるとされています。
βカロテンを多く含む緑黄色野菜を食べると動脈硬化を予防できます。
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